「スタッフを何日まで連続で入れてよいのか」「12連勤は違法なのか」——シフト制の職場で、管理者が一度は悩むテーマです。
結論から言えば、現行の労働基準法では原則12日まで(変形休日制の場合は最大24日まで)が連続勤務の上限とされています。ただし2026年に向けて、「14日以上の連続勤務禁止」を含む約40年ぶりの大改正が議論されており、シフト作成のルールは大きく変わる可能性があります。
この記事では、現行法のルールと改正の最新動向、そして違法にならないシフトの作り方を整理します。
この記事でわかること
- 労働基準法における連続勤務の上限(現行ルール)
- 36協定と連続勤務の関係
- 違法になる典型的なシフトの例
- 2026年改正の最新動向(2026年4月時点)
- 連勤リスクを防ぐシフト作成の実務
労働基準法における連続勤務の基本ルール
週1回の法定休日が義務
労働基準法第35条は、使用者に対して毎週少なくとも1日の休日(法定休日)を与えることを義務づけています。この休日を与えない場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります(同法第119条)。
つまり、「週1日の休日がないシフト」は原則として違法です。
現行法の上限は「最大12日」
法定休日の置き方によって、合法的に組める最長の連勤日数が決まります。
週1回の法定休日のケース → 最大12連勤
1週目の日曜を休日、2週目の土曜を休日にした場合、月曜から翌週金曜までの12日間は連続勤務させても合法です。意外に長いと感じるかもしれませんが、これが現行法の理論上の上限です。
| 曜日 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1週目 | 休 | 出 | 出 | 出 | 出 | 出 | 出 |
| 2週目 | 出 | 出 | 出 | 出 | 出 | 出 | 休 |
→ 月曜から翌金曜まで 12連勤
変形休日制なら最大24連勤(理論上48連勤)
労働基準法第35条第2項は、「4週間を通じて4日以上の休日を付与する」場合、週1日の休日義務の適用を除外するという特例を設けています(変形休日制・4週4休制)。
この制度を採用すると、4週間の最初の週に4日の休日をまとめ、残りを連続勤務にすることが理論上可能になります。
計算上の最大値: 24連勤(単独の4週間)、48連勤(2つの4週間を挟む場合)
ただし現実には、後述する労働時間の上限(週40時間)があるため、フルタイムでこの連勤を続けることは難しいケースが多いです。
36協定と連続勤務の関係
36協定は「時間外・休日労働」を可能にする労使協定
36(サブロク)協定は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働や、休日労働をさせるために締結する労使協定です(労働基準法第36条)。これを締結・届出しないと、残業も休日出勤もそもそも命じられません。
36協定があっても「週1日の休日義務」は免除されない
ここが誤解されやすいポイントです。36協定は時間外労働・休日労働を可能にするものであって、第35条の休日付与義務を免除するものではありません。
つまり、36協定があっても:
- 週1日の法定休日は必要(または4週4休)
- 時間外労働の上限は原則 月45時間・年360時間
- 特別条項付きでも 年720時間・複数月平均80時間・単月100時間未満 が上限
を守る必要があります。
振替休日と代休で連勤カウントが変わる
| 区分 | 連勤カウント | 割増賃金 |
|---|---|---|
| 振替休日(事前に休日と労働日を交換) | 途切れる | 原則不要 |
| 代休(休日出勤後に別日を休み) | 継続される | 発生する(135%) |
急な穴埋めで休日出勤を依頼する場合、事前に振替休日の手続きをしておけば連勤カウントをリセットできるため、シフト管理上のリスクが下がります。
違法になる典型的なシフトの例
例1: 週の途中で曜日をずらして連勤を伸ばす
「起算日の扱い」を誤り、1週間の中に1日の休日がない期間を作ってしまうケースです。就業規則で1週間の起算日(通常は日曜)が明確になっていないと、実質的に違反状態になりがちです。
例2: 代休を連発して連勤が15日を超える
代休は連勤カウントをリセットしないため、休日出勤に対して代休だけで処理し続けると、あっという間に上限を超えます。
例3: 管理監督者という名目で連勤を課す
「管理職だから労働時間規制の対象外」として長期連勤させるケースですが、肩書きだけで管理監督者に該当するとは限りません。実態として経営者と一体的な立場にあるかが判断基準であり、いわゆる「名ばかり管理職」は規制対象です。
例4: パート・アルバイトに週1日未満の休日
パート・アルバイトにも労基法第35条は適用されます。雇用形態にかかわらず、週1日(または4週4日)の休日は必須です。
2026年改正の最新動向:14日以上の連続勤務禁止へ
研究会報告書で示された改正の方向性
2024年1月に厚生労働省が設置した「労働基準関係法制研究会」は、2025年1月に報告書を公表し、約40年ぶりとなる労働基準法の抜本改正の方向性を示しました。
報告書で提言された主なポイントは次のとおりです。
- 13日を超える連続勤務の禁止(14日以上の連続勤務を明確に違法とする)
- 変形休日制の見直し(4週4日 → 2週2日へ)
- 法定休日の事前特定義務(「毎週日曜」など具体的に明示)
- 勤務間インターバル制度の義務化(原則11時間)
- つながらない権利に関するガイドライン策定
- 副業・兼業者の割増賃金算定ルール見直し
- 週44時間特例措置の廃止
法案提出は見送り — 2026年4月時点の状況
当初は 2026年の通常国会で法案提出、2027年4月の施行 が想定されていました。しかし、2025年12月に改正法案の通常国会提出が見送られた ことが報じられ、施行時期は未定となっています。
ただし、研究会報告書で方向性が明示されている以上、議論の大筋が覆る可能性は低い とみられています。シフト制の業種(飲食・小売・医療・介護・宿泊業など)は影響が大きいため、今後の動向を注視しながら、現時点から運用の点検を始めておくのが安全です。
改正が実現した場合の実務影響
シフト作成の現場では、次のような追加制約が入ることになります。
- 最大連勤は13日まで(変形休日制でも24連勤は不可に)
- シフト表に 法定休日をあらかじめ明記 する必要
- 前日の終業から次の始業まで11時間のインターバル を確保
- 夜23時終業 → 翌10時始業といった運用への変更
連勤リスクを防ぐシフト作成の実務
法令遵守と現場運用を両立するためのポイントをまとめます。
1. 就業規則で法定休日と起算日を明確にする
週の起算日と法定休日がどの曜日かを就業規則に明記しておくことで、連勤カウントの基準が明確になり、管理者間の認識ズレを防げます。
2. 連勤上限のルールを社内で「13日」に設定する
改正が先行きする中、社内ルールとして連勤を13日以内に留める のは、健康面・訴訟リスク面でも合理的です。精神障害の労災認定基準でも、2週間以上の連続勤務は重要な要素とされています。
3. 代休ではなく振替休日を優先する
休日出勤が必要なときは、事前に別の労働日との振替手続きを行うことで、連勤カウントをリセットでき、割増賃金の負担も避けられます。
4. シフトチェックを仕組み化する
Excelや紙での手動チェックには限界があります。とくに複数店舗・多人数のシフトを扱う場合、連勤上限を自動で検知するツール の導入が現実的です。
シフぽちでは、スタッフごとに連勤上限(例:最大5日まで)を設定でき、自動生成時に制約として組み込まれます。法改正で上限が変わっても、設定値を変えるだけで対応できます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 6連勤や7連勤は違法ですか?
いいえ、現行法では週1日の法定休日が確保されていれば違法ではありません。ただし労働時間が週40時間を超える場合は、時間外労働の割増賃金(25%以上)が必要です。
Q. 有給休暇を挟んだら連勤カウントはリセットされますか?
されません。有給休暇は「労働義務が免除される日」であり、労基法上の休日ではないため、前後の勤務は一連の連続勤務として扱われます。
Q. アルバイトやパートも連勤の上限は同じですか?
はい、同じです。雇用形態にかかわらず、労働基準法第35条の休日規定は適用されます。
Q. 2026年改正はいつ施行されますか?
2026年4月時点で、改正法案の国会提出が見送られており、施行時期は未定です。ただし方向性は研究会報告書で示されているため、シフト管理の見直しを先行しておくことをおすすめします。
Q. 社内ルールとして連勤上限を何日にすべきですか?
改正動向と健康リスクを踏まえると、13日以内、できれば5〜6日程度 が推奨されます。シフぽちのようなツールを使えば、スタッフごとに上限を設定して自動で反映できます。
まとめ
- 現行の労働基準法では、連続勤務の上限は原則12日(変形休日制で最大24日)
- 36協定は時間外・休日労働を可能にするが、週1日の休日義務は免除されない
- 2026年改正案では「14日以上の連続勤務禁止」が検討中。法案提出は見送られたが方向性は維持
- 振替休日と代休は連勤カウントの扱いが異なる
- 社内ルールとして13日以内の連勤にとどめ、ツールによる自動チェックが現実解
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参考情報
- 労働基準法|e-Gov法令検索
- 労働基準関係法制研究会報告書|厚生労働省
※本記事は2026年4月時点の情報に基づきます。改正動向は最新情報を厚生労働省の公表資料でご確認ください。